知床岳 | しれとこだけ | 1,253.9m | 2008/09/11〜09/14 |
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9月初め、夫と友人との3人で知床岳登山を計画したが天気が悪く延期。中旬頃からは天気がよくなりそうなので11日札幌8:50分3人で出発する。知床峠を通り羅臼へ。知床峠からの羅臼岳は岩尾別方面から見る姿と違い山容が大きい。羅臼の町に入り、札幌から9時間位かかって民宿”とうまわり”に5:30分やっと到着。北海道観光のバイクのお兄さんと一緒に魚ずくしの夕食を頂き、21時就寝。おにぎりを作って頂いて、朝、5時出発。相泊まで車で30分の道はここで終点になっていた。道は終わりとの立て札が立っていて、本当に地の果てにきた実感がする。ウナキベツ河口へはここから2時間半の海岸歩きとなるが、相泊港から漁船をチャータしていた。
漁船6:20分乗船する。 ウナキベツ河口付近には船着き場がないので先の岩場の小さなな砂浜に着く。そこから 海岸を700bほど歩いてウナキベツ河口まで戻り、河口より知床岳をめざす。6:40分海岸から笹原を抜けるとすぐ75bの急登で、ロープや木の根を掴みながら一気に登る。そして樹林帯の中の登山道が緩やかに続く。1時間ぐらいで青沼に到着。漁船に乗った頃から雨が降り始め、雨は本降りになっていた。そして、青沼を通過した頃雨は一段と強くなってきた。今日は知床沼まで登る予定だったが、予定を変更して青沼にテントを張ろうということになった。気が抜けた様な気持ちでテントを張り、10時頃テントの中で雨の音を聞きながら、今日、知床沼まで登るという高揚した気分がやっと落ち着いてきた。 |
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ウナキベツ河口付近の船着き場 | 青沼にテントを張る | 崩壊地形 |
お昼頃雨が一時やみ日が差してきた。テントから抜け出し辺りを散策する。とは云っても神秘的な色をした青沼の周囲は狭い。ほんの何十b歩いただけだが熊の足跡や熊のひっかき傷の白樺を見つける。早々と5時頃夕食を済ませ、明日は長丁場なので19時頃寝る。夜中、雷が鳴り風雨も強くどうなることかと心配したが、翌日は抜けるような青空。今日はここから知床岳山頂までの往復になるので長い行程に身が引き締まる。朝5:15分出発。樹林帯を登り40分程で崩壊地形が見えてきた。樹林帯から抜け出て大きな崩壊地形の縁を登る。昨日の雨で粘土質の道は滑りやすい。難儀な登りとおもっていたがロープもあるので何なく通過。でもこの急登の先からポロモイ台地に入ってからがたいへんだった。
標高800b辺りで崩壊地形の縁から離れた道は、笹が覆い被さったところも多く、足元は大岩やハイマツの幹などで滑りやすく緊張の連続だ。1時間程の緊張で大汗かいて登っていると突然湿地帯に出る。小さな地糖も点在し今はお花もなにもないが一息つく。国後島が目の前に大きく見える。そして又、ハイマツ帯の中に入り幹渡りや大岩を乗り越え15分程緊張状態になると又、突然視界が開け沼に飛び出す。知床沼に着いた。青沼から2時間50分かかって知床沼の一角に着き、沼の北側を巻きながら沼の縁についている踏み跡をたどる。 |
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ポロモイ台地の中の湿地帯 | 知床沼 | P1132の登りから知床沼を見下ろす |
踏み跡は南側の沼の端からP1132へと向かっているが、一面私の胸まである高い笹原なのでちょっと見ただけでは道が何処にあるのかわからない。杖と手で笹をかき分け、笹の下の踏み跡を確認しながら進むが、注意深く見ていないと踏み跡を見失ってしまう。相変わらず笹の下の踏み跡にはハイマツの幹が多く、その上にのってしまうと滑るので又また緊張の連続だ。だがここのハイマツの幹には苔がびっしりと付いていない為か、ホロモイ台地よりは歩きやすい。振り返ればのびのびした風景が広がり知床沼も小さく見える。
P1132からはハイマツ帯になって、ウナキベツ川源頭部を見下ろしながら稜線上を進む。稜線を離れると素晴らしい湿原に出た。いくつもの点在する地糖。それが日に照らされてキラキラ輝き緊張をほぐしてくれる。そしてP1243への登りになった。 ハイマツ帯の踏み跡ははっきりしているが、ハイマツの幹があちこちでっぱっていてリックや衣類に突き刺さる。足元も注意が必要だが、緩い登りでP1243へ到着。知床岳山頂が見えた! ここから湾曲上になったずーと遠くに知床岳山頂がやっと姿を現した。山頂を見ながらの登りは足取りも軽いがすぐ先の崖縁は崩れていて亀裂も入っている。その上の細い踏み跡をたどるが脇のハイマツにつかまりながら恐るおそる通過。 |
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P1132へ | 稜線上からウナキベツ川源頭部を見下ろす | P1243へハイマツの登り |
覆い被さったハイマツの中を歩いたりするが、ハイマツ帯の踏み跡は意外と歩きやすい。一生懸命ハイマツ帯を漕ぎ分け進んでいくとひょこりと小さな広場に出た。何と山頂で、P1243から45分程で、あっけなく知床岳山頂に着いた。11:30分到着。ハイマツに囲まれた山頂からは全く展望なく、一等三角点がひっそりと埋まっているだけだ。でもここまで来るのには本当に遙かな道程で、遠い遠い知床岳の山頂についに到着出来たと喜びも一入だ。日だまりがほどよい暖かさで、ひんやりとした風も気持ち良く、山頂にある大岩にのってオホォーック海、根室海峡そして知床半島をぼんやり眺める。おにぎりを食べ、30分休んで下山開始。 |
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知床岳が間近に | 知床岳山頂 |
明るいうちに青沼に戻りたいので12:00分山頂をあとにする。途中、ハイマツ帯と笹の中で踏み跡を見失う。少し歩くと間違ったことに気づき、3人で辺りを探す。注意深く探すと見つけられるのだが、焦ると猶見つけずらい。笹の中では人が潜ってしまって見えないので声を出し合ってルート探しをしたりした。2回ともすぐ踏み跡に戻れたので景色を堪能しながら、知床沼に15:15分到着。10分程休憩し、青沼へと急ぐ。ホロモイ台地の下りは本当に緊張させられた。崩壊地形を通過すると緊張もとけ、コバルトブルーの青沼が見えたときはホッとした。青沼到着17:15分。丁度12時間かかって青沼から知床岳山頂を往復、暗くなる前にテントに戻る事が出来た。
翌日、8時青沼を出発。今日はウナキベツ河口に下るだけなのでルンルンだ。海岸9:15到着。漁船がくるまで時間があるので海岸でのんびり過ごす。突然、目の前の海際で鮭がジャンプした。びっくりして海を透かしてみるとカラフトマスが所狭しと泳ぎ回っている。背びれが海の上に出ているのもいて手ずかみで取れそうな感じだ。その中を漁船が入ってきた。船長さんに指さすと今の時期たくさんいるよとの返事。そして知床岬の先端の方まで案内して頂く。断崖絶壁の脇を漁船でぶっ飛ばす爽快さ。知床岬をたっぷりと堪能させて頂いた。鮭釣りに釣り人が全国から来ているのだそうで、辺鄙な岩場にも釣り人がいるのには驚いた。交通手段がないのでみんな漁船をチャーターしてきているのだという。 相泊11:00着。温泉に浸かり、食事して札幌21:30分到着。 |