ペテガリ岳 ぺてがりだけ 1736.2b 1995.7.29


2組のご夫婦と一緒にペテガリに登ろうということになり、6人で札幌を出発。静内から日高横断道をたどり、東の沢ダムへの林道に入る。狭く長い悪路の山道はカーブが多く、一歩間違えばコイボクシュシビチャリ川の谷間に墜落の危険を感じながら、ダムから約6`で、ペテガリ山荘に着いた。山荘にはすでに3組の登山者が寝床の準備をしていた。私達も床作りをして外の広場で食事の準備にかかった。今日は焼き肉で、豚汁とビールで乾杯。明日の登頂の前祝いをして20時頃寝袋に入る。明日は曇りで雨は降らない予報だった。

ところが明け方から激しい雨。雨の様子を見ながらぐずぐず支度をしていたが6時頃雨が小降りになったので出発することにした。今日はペテガリを往復してから又、この山荘に泊まる予定だ。東京からきた登山者の一人も出発し、私達も小雨の濃霧の中を6:30分出発。砂防ダムを越えて西尾根に取り付き針葉樹の中をジグザグ登る。小雨は又、本格的な雨になった。汗と雨とで体中がグシャグシャになりながら、登ったり、下りたり。何度もコブに着いては一気に下り、濃霧の中で尾根上のアップダウンをだだモクモクと歩く。景色も何も見えず、急登して今度は風も荒れ狂う山頂に到着。

ペテガリ山頂から少し下って

雨と風と濃霧の山頂は写真も撮れず、風の当たらない所まで下りておにぎりをほおばる。ノドに通らずお水を飲んで下山準備。滑る急な下り、そして又、長い長い尾根道を登ったり下りたりで雨と濃霧は最後まで消えない。やけくそ気味の歩きで10時間30分かかって17:03分ペテガリ山荘に戻った。ビショビショになった衣類を着替える。一日中降り続く雨が一段と強くなってきた。悪路の林道を思い出して今晩山荘に泊まる予定をやめ、急遽帰ることにした。18時40分山荘を出て5分もしないところで目の前を熊が横断。ライトに照らされた熊は一瞬私達を眺め、悠然と歩く。右崖から雨水が滝のように落ち、林道は川のようになり谷川になだれ落ちる。林道が陥没するのではないかと恐怖感に襲われた。林道を通過出来た時は安堵感で一杯だった。

翌日、この林道は崖崩れで不通になったと新聞が報じていた。3〜4日後山荘に取り残された登山者がヘリコプターで救出されたニュースが新聞に載っていた。ペテガリと聞いただけで今でもあの豪雨を思い出す。





登山口 6:30 ペテガリ岳山頂 12:05 登山口 17:03