八内岳 はちないだけ
やちないだけ
944m 2011/4/6 登り: 3時間40分 下り: 2時間10分


共和町・古平町・仁木町の境にある山で、明治初期には「やつない」と呼ばれていたが現在は「はちない」とよんでいる。
古くは銀・銅の坑穴があり砥石を産していた。 堀株川の支流のヤチナイ川の水源であることに依り、 川名と同じにヤチナイ岳とも呼んでいる。 (三省堂の日本山名辞典では「はちないだけ」)
ヤチナイはアイヌ語で「古川の湧水」を意味するという。

四方八方に尾根を広げた大きな山容でどこからでも登れる。どのルートをとってみても、長い尾根歩き、勾配がきつい、灌木がうるさい、 登り返しの尾根歩き等条件が良くない。スキーでスッキリ登れるルートはないだろうかと発足川沿いの林道から766mピークに登り、 頂上から東に延びる尾根を辿るルートで出発。

国道269号線で泊原子力発電所方向へ進み、国道269号線が国道229号線と交わる50mほど手前で右折して 発足川沿いの569号線に入った除雪の最終地点から登る。 この先も未開通の道道569号 蕨台古平線(古平町〜共和町)は続く。 除雪最終地点(標高115m)からは林道を標高点274mまで辿る。 左手の尾根にとりつき549m標高点を経由して766mピークに至る。 疎林帯の尾根は広く下りには快適な斜面だ。雪も締まっていて傾斜もそんなにきつくなく登りやすい。 高度をあげてゆくと対岸に岩平峠が反対側には三角山から稜線に至る細い尾根が見えている。

出発から2時間30分ほどで766m稜線にでる。今日は風が強い。 日照りでカサカサになった雪面の表面が風で飛んでゆく。766mピークから一寸下り、 三角山から伸びる尾根の775mピークまで60mほど登り、775mピークは踏まずに北斜面を巻いてコルに出る。 これから越さなければならない889mピークが正面に立ちふさがっている。樹木の生えているところを登り、北東斜面から一端稜線に出たが風が強いので889mピーク手前から北側斜面に下り歩き易い雪庇下斜面をゆく。 先ほど664m標高点の尾根から889m先のコルへ続く足跡を見たが、クッキリとしていて今日の足跡のようだ。 目の前の雪庇を爪を利かせて器用に登っている熊の足跡があった。先ほど見た足跡はこの熊の足跡だったようだ。 高さ3〜4mの連続した雪庇の壁が、ここだけは低くなっている。低い場所に一直線に来ていて 乗り越し易い場所を探した痕跡がなく、流石、山の名人だ。 目の前には八内岳の斜面が見えている。あと4〜5分で頂上。

頂上で写真を撮ろうとストックから手を放した途端、風で押されて滑りだす。 風が強いので早々に頂上を後にする。頂上付近は風が特に強く、風の隙間を縫っての前進だ。 帰路は775mピークから766mへは一端700mまで下って66mを登らなければならない。 66mの登りを頑張るとあの素晴らしい斜面を下れるのだが、まだ見たこともない三角山からの尾根はどんなだろうと下ってみる。 三角山への途中469m標高点から右側林道へ下る。 灌木が密生した、細い尾根は下りに難儀した。やはり登ってきた尾根を下るべきであった。 両ルートを比較して見ると登りのルートのほうが沿面距離で+400m、登り標高差が+60m・下り標高差が+55mであった。

左に三角山と八内岳(右奥)
除雪最終地点 林道

766mピークから775mピーク 775mピークの先に889mピークが
雪庇を登る足跡 八内岳