知床岳

知床岳 しれとこだけ 1,253.9m 2008/09/12
 〜 09/14
天候: 雨・晴 登り: 7時間15分 下り: 6時間30分

チャラセナイ川の水源にこの山があることに依り、アイヌの人達はこの山をチャラッセ・ポロ・ヌプリ= 滝になって落ちる川・大きい・山と呼んでいた。

シレトコは「地の果て」を意味すると言う最果ての山ではあるが、 一般的なウナキベツ川からの、 このコースは今ではすっかり踏み跡も夏道状態となっており、 注意深く歩くと迷うことはない。(路を外したのか10m〜20mほど藪を強行突破する場所が2〜3箇所あった) 難点はササ・ハイマツが覆い高い視点からは踏み跡が葉の陰になっていることだ。

羅臼の民宿「とおまわり」に前泊する。夜はキンキ・カレイの煮付け・カレイの唐揚げ・焼き鮭・シイラの揚げ物・ ホッケの揚げ物・三平汁等魚ずくし。天気予報が変わり明日は雨のようだ。


相泊漁港に駐車し、漁船をチャーターして相泊よりウナキベツ川河口を目指すが漁船に乗り込む頃から雨が降りはじめる。

ウナキベツ川河口付近には適当な上陸地点がないので700mほど先、岬の小さな砂浜に上陸する。 ウナキベツ河口まで戻り、河口より枝やロープにつかまりながらの急登で河原より一段高い標高72mの尾根まで上がる。 そこから2.5km先の青沼(神秘の沼)までは樹林帯の中をなだらかな路は続く。

コバルトブルーの青沼は神秘的な佇まいでここに泊まりたい誘惑に駆られる。 雨も強くなってきたので知床沼までの予定を変更し、 今日はここに泊まり,明日は好天予報なので、ここから頂上を往復することにする。 一時的に雨も止んだが昼ころからまた激しく降り出す。青沼の山側には幾筋かの獣道があり、足跡もあるが、 冬眠を控えて熊達は遡上してくる鮭・鱒を求めて海岸近くに陣取っているだろう と勝手に決め込んで、雨の一夜を過ごす。夜中には雷も鳴り、 風も強く吹いたが明け方近くには雨も止み星空も見えたので一安心。

翌日は5時15分に青沼を出発。1時間ほどで大きな崩壊地形の縁を登るようになる。 登りのキツイ箇所にはロープが下がっている。 標高800mあたりで路は崖の縁から離れ50〜60m程 トラーバス気味に進み、急登の先からポロモイ台地に入る。 ポロモイ台地の路は大岩に太いハイマツの幹が張り付いた枝渡りもあり、足を滑らさないよう緊張の連続である。

ポロモイ台地からは国後島が視界いっぱい拡がっている。 途中には小さな地塘を持つお花畑がありホッと一息継ぐ。 ここから15分ほどで知床沼の一角に出る。路は沼の北側を巻きながら沼縁を南下している。

青沼(神秘の沼) 崩壊地 知床沼手前の地塘
知床沼 路は沼から離れてP1132へ P1132の登りから知床沼

南側の沼の縁からP1132へと伸びている踏み跡はササの陰で見難いものの、 はっきりとしているので注意深く歩くと迷うことはない。 P1132から崖に沿ってウナキベツ川源頭部のハイマツの中を進む。 眼下にはウナキベツ川を見下ろすことができ、やがて路は稜線より離れ巻き気味に進むと、 幾つもの小さな地塘を持つ湿原に出る。

ここからもP1243へハッキリした路を辿る。 P1243から見ると目指す知床岳はまだまだ遠く感ずるが, 多少のハイマツの枝があるものの障害物も少なくペースも上がり、 意外と早く45分程で一等三角点の知床岳頂上。 途中の崖縁の路は崩れている箇所もあり要注意。 広葉樹に囲まれ頂上からは展望がないが側の小さな岩に上に乗るとオホーツク海と根室海峡を両側に知床半島を一望できる。 北方向に目を転ずるとポトピラベツ川を挟んで知床岬方面が一望できる。 もう少しゆっくりしたいが、 明るい内に青沼まで戻らなければならない長丁場なので昼食もそそくさと頂上を後にする。 あとは往路を辿るだけなので安心感も働き、注意力が散漫になったのか帰りには路を2回ほど踏み外すが 5〜6歩進んですぐに後退し注意深くあたりを探り踏み跡を見つけそれを辿ったのでロス時間は2〜3分程度で済んだ。

今日は丁度12時間で青沼から頂上を往復し、暗くなる前にテントに戻ることができた。
夜には雨になり雷も鳴っているが明日は下るだけなので気楽な一夜であった。 翌日はゆっくり下りウナキベツ河口には9:15分着。漁船の待ち合わせ時間まで海岸でのんびり過す。 岸からは鱒が泳いでいるのが見え、海面に背ビレを覗かせジャンプしているのも見ることができた。 早めに迎えの漁船が来てくれ、ペキンの鼻あたりまで遊覧していただいた。 モイレウシ河口では10名ほどの釣り人が鱒を釣っている様子をみたり、奇岩が海に迫る様子を見物でき満足の遊覧であった。 戻る途中、漁船待ちをしていた場所で大きな熊があたりを嗅ぎ廻っており、人が立ち去るのを物陰から見ていたのであろうか。

今回の山では、時々、棒切れでササを分け足元を確認しながら歩いたので路を踏み外したり、枝に足を取られることもなく進めた。 また、メンバーが複数人の場合、先頭との間隔を取ると先頭が路を踏み外しても後続が路を確保していると踏み跡から逸れることなく進める。路を踏み外した所は、他の人も同じように路を踏み外しているので 迷い路があり、一度踏み外すと元に戻るのが難儀である。

P1243の登りから地塘 P1243の登り 稜線からのオホーツク海
頂上への稜線 頂上20分前 頂上



ルート図

9/12 相泊 6:15→ウナキベツ河口 6:30→青沼7:30 (相泊よりウナキベツ河口までは漁船を利用)
9/13 青沼 5:15→ポロモイ台地入口 6:50→知床沼 8:00→P1132 9:20 → P1243 10:45→ 知床岳着 11:30→
知床岳発 12:00→P1243 12:50→P1132 14:00→知床沼着 15:15 ポロモイ台地入口 16:00→青沼 17:15
9/14 青沼 8:00→ ウナキベツ河口 9:15 ウナキベツ河口発10:30→ペキンの鼻→相泊 11:00
                     (ウナキベツ河口より相泊は漁船の利用)


知床岳の情報
◎ 泥濘地の通過もあるので、靴の防水対策を充分に
◎ 予備の靴下を持参
◎ 携帯は受信不能
◎ 水場: 知床沼の天場では、沼の水は薄い褐色で渋い味、
  増水時に水位はかなり上昇し、周辺の排泄物等も流れ込んでいる
  沼から10分程先のP1132へ向かった岩溝に水場がある
  (路はこの岩溝を渡るので、岩溝を5m程入り込む)
◎ 相泊の駐車場所: 港の公衆トイレ付近
◎ 食料(酒等): 相泊には「熊の穴」食堂以外に店は無く、食料等は25km手前の羅臼で調達可能