澤頭〜グレポン(朝里) 2011/4/29


朝里グレポンは朝里岳から北西に延びる尾根上に点在する岩塔の一つで、 その名称は フランスのシャモニー針峰群にある針峰「グレポン」に依ると言われている。 日本では他にも、北穂滝谷のグレポンがある。 本場のグレポンはシャモニー針峰群の ミディとベルトの中程に位置し、 ガストン・レビュファも登った グラン・シャルモ 〜グレポンのメイン リッジ トラバース(5時間15分) ルートはアルパインクラブ(AC=英国山岳会)のガイドブックにも紹介されている。

朝里岳の北西尾根上に点在する岩塔群はグレポンの他マンモス岩・ジンギスカン岩などがあり、 また、 岩稜にはベアーリッジ・マブイ岩・インディアンロック・大統領岩があると言う。 昔は登られていたが最近は 忘れられた存在となっている。

朝里峠から三等三角点「澤頭」経由でグレポンや他の岩峰群を巡るコースをスキーで出かける。 朝里峠の定山渓側の駐車帯には「除雪車旋回場駐車禁止」の表示がある。 この時期はもう除雪はないので駐車させていただく。 (ここに駐車できない場合は、 この駐車帯より500mほど定山渓側に下ったところに駐車スペースがある)
駐車帯より朝里岳へ向かって登り出す。 針葉樹やダケカンバの混合樹林帯を行く。 前方の小高くなった上に国際スキー場のリフト小屋が見えてくる。850mを過ぎると傾斜もきつくなるが、 900mを過ぎると平坦地となる。 900mから右手に進路を変え、 ここからは高度を上げずに910m〜920m等高線に沿って歩く。 これより高度を上げ過ぎると深い沢を何本か渡らなければならない。
928m標高点(三等三角点:点名 澤頭)に立ち寄ることにし、真っ直ぐこれを目指す。 「澤頭」からは対岸に屏風岳から天狗岳へ続く尾根がよく見えている。小樽港の防波堤も見えている。

「澤頭」から尾根の西側にある岩塔群へ向かう。岩塔群は850m近辺にあるので西側へ下る。 途中尾根の上、D地点に岩塔があり、そこから更に西に一面のダケカンバで、視界が利かない中を 進むと突然視界が開け眼前に岩塔がそそりたっていた(815m標高点:A地点)。 これが対岸の天狗岳や長峯方面から 見えているグレポンだ。岩は総じて脆いようだ。 A地点よりB地点に向かう。B地点には親子熊の足跡が沢山ありこの辺が根城のようだ。 B地点からC地点に向かう。C地点にも別の熊が沢から登った足跡があった。C地点には岩塔が2つあり、 斜面上側からは尾根続きとなっているので何れも簡単に登れるが、反対側は切れ落ちている。 C地点の岩も見る方向によっては先が尖って見える。 グレポン(A地点の岩峰)が一番立派で見応えがあった。下図の航空写真で見ると横に長く、 実際に見たのは矢印の一部分だけだった。
ルート図

正面の小高い上にリフト小屋 928m標高点「澤頭」
928m標高点「澤頭」から屏風岳。天狗岳
尾根途中にある岩塔(D) グレポンを横から見る →
グレポン B地点の岩稜を横から見る

C地点岩塔の上から見下ろす C地点岩塔の上から隣の岩
A地点航空写真(矢印は上2枚の写真の撮影方向)

駐車帯 (2時間) →三角点「澤頭」 (15分)→D地点 (5分) →A地点 (15分)→C地点 (1時間30分) 駐車帯




グレポン AIGUILE DU GREPON   3482m

ACのガイドブックにはシャモニー針峰群のなかでも最もポピュラーで有名なルートの一つであろう、またグランシャルモからの トラーバスが一般的であると紹介されている。
鳥の鶏冠のような凸凹した頂稜を持つ針峰で岩が薄いのでモンタンベール方向から見ると尖って見える。

ホテルのテラスからは2時の方向にモンブランが白く輝いて見えている。1時の方角からは針葉樹の黒い斜面が眼前に拡がる。 その黒い斜面の上、1時の方向にはミディが10時の方向にはグランシャルモからグレポンに続く針峰が顔を覗かせている。 ACのガイドブックによると北・南・南西リッジルートは殆どがW級でそんなに難しくないと紹介されている。

昨日はハードな山行だったので今日は休むつもりだったが、お天気も良いので取り付きまで偵察する予定で出かける。 ACのガイドブックにはシャルモ・グレポンのクロアールまで3時間45分とある。
ゴンドラのプラン・ド・アギューレ駅からモンタンベールへのハイキングルートを辿り、一時間ほどで道がナンテロン 氷河からの沢形を横切る。 この沢形を詰める。アルペンローゼが咲き乱れるお花畑の中、草地を縫いながら進むと程なくガレ場となる。浮き石も多く、大岩を乗り越えたりして進む。 大岩もグラグラ動いたりすることがあるので慎重に登る。まもなく氷河の末端にでてアイゼン歩行となる。やはり氷河のほうが歩きやすい。 アイスフォールを警戒し右側に寄ったルートをとる。日陰に入ると蒼氷となる。壁も立ってきた。ダブルアックスだと登り易いだろう。 ここまで出発から2時間30分。取り付きまであと2時間はかかるであろう。気温も上がってきた、 今日はここまでとし下山開始。トラーバスしながら左手のシャルモ側のリッジの上に出てみる。リッジの上にはテント一張分の人工的平地があった。 ここからは取り付きまでの氷河の様子が見える。このテントサイトからモンタベール方向に踏み跡があり、この踏み跡をたどりモンタンベール に向かう。ハイキングルートがモンタンベールの手前で上下、二方向に分かれる、 その手前でハイキングルートに合流した。メール・ド・グラスを眼下に見ながらモンタンベールまで行き、電車でシャモニーに戻る。

後日、ガイドに尋ねたところ、近年、氷河が後退し取り付きまで時間がかかるようになったので、 こちら側から登る人も少く、反対側から登るとのことであった。
シャモニー針峰群(ブレバン付近より)

シャモニー針峰群


シャルモ側リッジ上から 宿のテラスから見えるグレポン(中央右側)