夕張山地の北西部、尻岸馬内川を挟んで布部岳と対峙する奥深い山なので人目に触れることのない秘峰で、 三角点名「中天狗」(ちゅうてんぐ)がそのまま山名となっている。
歩行時間もそんなに長くなく、この時期お花を期待できるのではないかと訪れてみる。札幌方面から道道135号で長いトンネルを抜けた1kmほど先が尻岸馬内川林道入口である。ゲートには鍵がかかっていて、
ここから入渓地点まで6q弱の林道が続く。林道の終点は車の回転場所となっていて3〜4台程駐車できるスペースがある。
林道終点から沢歩き。作業道跡が川の少し先まで延びていて、道床の残っている部分では踏み跡もある。
入渓しようと準備している時に一台の車が到着した。彼らは北面直登沢出合の崖付近で蝶の標本採取をするという。天狗蝶でもいるのであろうか?
50分弱で北面直登沢出合到着。北面直登沢は、入渓してから初めて右から出合う沢で、両側に岩崖が切り立っていて、狭い沢の感じがする。
ここから標高差約600mの急斜度が真っ直ぐ伸びる一本沢だ。
正面にはこれから登る水脈が白く見えている。結構な傾斜のようだ。
小滝状の流れの中を登っていくが、出合いから標高差50mほどのところで、突然、その上の水流が姿を消している。
その上まで登っていくと、吹き出すように湧水となっていて、この先に水はない。
両壁から崩壊した砂礫が主体の細い沢なので沢と言うより、むしろ雨裂を登っているような感じだ。
最初の内は崩壊した砂礫の中に小石も混ざっていて滑らなかったが標高1100mを越えると沢形も判りづらくなり、
泥の斜面となり沢靴ではよく滑る。脱着式のスパイクを沢靴の底につけたが、それでもなお滑り歩きづらい。
途中で左手にトラーバスしている鹿道があったので鹿道に移り変える。
鹿道はトラーバスの後左手の尾根を直登するが頂上手前60〜70mほどが地図で見るより傾斜がきつく最後の頑張りが必要であった。
頂上はトウゲブキ、シナノキンバイの大群落でタニウツギ、エゾシオガマ、チシマフウロ、イブキジャコウソウ等々一面のお花畑だ。
ネギ坊主も見られる。近くには布部岳、松籟山や極楽平も見えている。芦別岳や夫婦岩がガスに見え隠れしている。
崕山も見えている。遠くには十勝岳も見え、珍しい蝶も見られる。
出合で,下山後スパイクを洗うと
スパイクの周りに細い草の繊維がしっかりと巻き付き、靴底は泥のだんごになっていた。
これでは滑るのも納得。
北面直登沢はすぐに流れがなくなるのだから登山靴を持ってくるべきであった。
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