観音岳 かんのんだけ 932m 2009/12/10 天候: 登り: 3時間 下り: 55分

日高山脈南部の豊似岳の東にある山。山名はかって猿留山道を往来する人々の安全を祈って沼見峠に祀られている馬頭観世音菩薩碑に依るものであろうか、それとも、 観世音菩薩が半僧坊大権現に化身してこの世に現れたとも言われている奥山半僧坊大権現に依るものなのであろうか。何れにせよ、観音岳の山名はかって猿留山道を往来する人々を見守ったこの山にある 観音菩薩に依るのであろう。

観音岳北東中腹にはハート形をした豊似湖がある。 1845年松浦武史郎は「トヨイ岳」(現・観音岳)の登頂を試みたが、山霊の祟りを恐れて 土地のアイヌが案内を拒んだため、山霊のお告げがあったと嘘をついて案内させてその後に登頂している。
「トヨイ岳=トヨニノホリ」は現・観音岳で、現・豊似岳は「ホンノホリ」と呼ばれていたと言われている。

観音岳(沼見峠より) 駐車場 豊似湖
妙見菩薩碑(左)と馬頭観世音菩薩碑(右) 550m付近 奥山半僧坊大権現の像

えりも町目黒から豊似湖へ向かい、トイレや案内板が設置された駐車場に車を止める。
遊歩道で湖を半周したあたりより、真っ直ぐに猿留山道 江戸時代後期の1799年に、様似山道と共に開削された を目指し、尾根に突き当たると何回か大きくジグを切りながら猿留山道に合流する。 所々凍結している箇所もありスリップしないように注意しながら歩く。 山道を進み488標高点の沼見峠に至ると豊似湖が眼下の枝越しに見えている。 ここにはかって山道を往来する人々の安全を祈った 妙見菩薩(安政6年/1859年)と馬頭観世音菩薩(文久元年/1861年)の碑が祀られている。 奥深いこの山に150年も前の人々の往来の形を見て深く心を揺さぶられた。

妙見菩薩碑の左後から尾根筋を辿り観音岳への登りにかかる。所々笹の濃い所もあり、 時折藪漕ぎ状態で高度を上げる。680mコブに着くと奥山半僧坊大権現の像が猿留山道を見守るように祀られていた。 ロケーション的にはこの奥山半僧坊大権現の像は観音岳と一体化している印象で、 この場所に居ると観音岳の山名は半僧坊大権現に依るの感じを受ける。

680mコブから尾根通しに830mコブへ向かう。このあたりには顕著な鹿路が丈の低いササ原に見られ、 暫くはそれを利用して高度を稼ぐ。 暫く登ると積雪も多くなり時折膝までぬかったりで歩きづらい。
830mコブから暫く平坦な尾根筋を辿り、最後の100mほどを一登りで山頂に着く。
正面に豊似岳、遠くには純白に輝く南日高の山々が見えている。
830mPより頂上部 頂上への稜線 観音岳山頂と豊似岳(右奥)

一番遠くの白い山並み→神威岳(左奥に小さく)、 十勝岳(中央左)、楽古岳(中央右)、広尾岳(右)

駐車場 7:17→豊似湖 7:23→猿留山道合流 8:00→ 沼見峠8:20→680mP 9:15→830mP9:50→頂上着 10:17
頂上発 10:55→駐車場 11:50
***足場が悪く登りには意外と時間を要したが、夏場であれば登りは30〜40分程度短縮できたであろう。