札幌市南区にある山で、国道230号線からは特徴的な岩稜がよく見え、一見人を寄せ付けないように見えるが意外と簡単に登れ、
低山のわりには、高度感がある山である。登山路の傍らを飾る花も多く春先には
ヒトリシズカ・ユキザクラ・マイズルソウ・ニリンソウ・、エゾエンゴサク・エンレイソウ・シラネアオイ・キバナノアマナ・クサノオウなどが見られる。
アイヌの人達はこの「剣を連ねたような山容」を「ウハトラシ」(互い・の上・に沿って上の方へ行く・する所)と呼んでいたようである。
古い地図では「五剣山」と表記されていたが、山の形が八つの剣を連ねたように見えることから、「八剣山」と言われるようになった。また、
一見人を寄せ付けがたい山容に見えるので宗教登山の対象としては最適の場所だったのであろうか。
観音岩山の山名は山中の岩稜に観音を祀ってあったことに依ると言われているが今ではその面影を見ることはできない。
過去には「五剣山」「七剣山」「天厳山」「定鉄マナスル」などと呼ばれたこともあった山。
八剣山には南口・中央口・西口と三ヶ所の登山口があり、今回は南口から登る。 国道230号線の北側のバイパス(八剣山の下をトンネルで抜ける)で札幌方向からトンネル手前で左の道に入って道なりに進むと
八剣山小屋がある南口登山口となる。 登り始めからの急登で木の根に捕まったりしながら10分ほど頑張ると傾斜も緩くなり、程なく左から中央コースが合流する。ここからは緩・急登の繰り返しで、やがて、右斜めに登るようになり岩壁の基部に達し、細い岩尾根に上がると一気に展望が開け、反対側も見えるようになる。
岩稜の北側を辿って行くようになり、ここから、ほんの短い距離ではあるがアルペンムードを楽しみながら登ると、岩稜越しに札幌岳が見えて来る。あたりにはアサギリソウ・イワヨモギ等岩場特有の植物も見られるようになる。尖ったパゴタの塔も確認できる。やがて、西口コースと合流して、頂上もすぐだ。周りが切れ落ちた、視界を遮るものはなにもない頂上からの展望はすこぶる良い。随分と高い山に登った感じだ。眼下の果樹園、神威岳・定山渓天狗岳・余市岳・札幌岳・空沼岳・無意根山等が一望できる。
頂上で会話を交わした人が下山したので後に続くと、彼がストックで指す目先の岩棚にはマムシがとぐろを巻いて首をこちらにもたげている。
一瞬固まってしまい一寸後ずさりする。彼が無事通過したのだから襲うことはないのであろう、岩棚はちょうど首の位置となるので、
意を決し低い姿勢で通過する。蛇が苦手で冷や汗をかいた八剣山であった、反面、短時間ではあるが山登りのエッセンスを備えた山であった。
*ロープの張られている箇所もあるが過去にロープが切れての滑落事故もあり、ロープに頼りすぎに要注意!! |