アポイ岳 あぽいだけ 810.69m 登り: 2時間30分 下り: 1時間30分


アポイ岳は日高山脈主稜線南部から西に派生する支尾根上にある山で様似町に属する。 一等三角点(点名「冬島」)の山で花の百名山でもある。 アポイは「アペ・オイ」で火のあるところによるといわれている。昔先住の人々はアポイマチネシリ 「火のある女山」とも呼んでいた。アイヌの伝説に因ると、 昔、天上から鹿の入った袋がこの山に下ろされたといい、鹿が下りるときには 山の両方から火の玉が近寄ってきて、それが一緒になると大きな火の玉となり、この山に落ちたのだ。それで この山をアぺ・オイと言うとのことである。

アポイ岳の北奥にある峰続きのピンネシリ(男山)と対の山でもある。 山が橄欖岩でできており、特殊な自然体系となっていることから、高山植物帯が「アポイ岳高山植物群落」として国の特別天然記念物に指定された。 橄欖岩は水を含むと蛇紋岩などに変質するため、早池峰山や尾瀬の至仏山等同様に「蛇紋岩植物」が生育する高山植物の宝庫として有名である。 ヒダカソウなどのここにしかない花を含む多くの固有植物が生育しており、植物のみならず固有種のカタツムリ「アポイマイマイ」のほか、 日本ではここにしか生息しない蝶「ヒメチャマダラセセリ」や 「エゾナキウサギ」など貴重な生態系も残されている。

「ヒメチャマダラセセリ」発見の経緯:
1973年5月28日、北大昆虫研究会の鈴木氏はアポイ岳でヒメチャマダラセセリを捕獲、 「チャマダラセセリ」か、もしかすると日本で初めての種類かも知れないと漠然と感じながら時は過ぎ、 翌年同じ下宿に引っ越してきた山本氏が「チャマダラセセリ」かもと思い、九大の白木教授の鑑定により新種と断定された。

札幌方面より国道235号で様似町の先、冬島の手前にあるJRバス停「アポイ岳登山口」で左折して山側に入る。 アポイ山麓自然公園のキャンプ場を過ぎた先に広い駐車場とレストハウスがある。レストハウスの横から歩き出し、 ポンサヌシベツ川に沿った林道を進むと、登山届のポストがあり、更に進んで橋を渡り、少し行くと登山路の入り口に達する。 右に折れて小川を渡り、緩い傾斜の登りで、新道が左手より合流するあたりから短い急登で、休息小屋のある5合目の尾根に出る。 ここから視界は一気に開け、ピークへ伸びる登山路と太平洋が望まれる。このあたりから9合目にかけて高山植物が見られる。 ここから馬の背までは岩の露出した歩きにくい路で、馬の背からは平坦な路を行き、勾配がだんだんきつくなり、樹林で覆われた頂上に着く。

頂上からは眼下に太平洋が広がり、ホロマン岳の向こうに襟裳岬が見える。 約1,300万年前に起きた2つのプレートの衝突。その衝突の際, 地殻の下にあるマントルの一部が突き上げられるように地上に現れたのがアポイ岳だという。
アポイ岳







馬の背への登り 頂上 頂上より様似の街並み
アポイアズマギク オオタカネイバラ