手稲山 | ていねやま | 1023m | 登り | 2時間40分 | 下り | 2時間 |
札幌市にある一等三角点 点名:「手稲山」の山で,
アイヌ語でタンネウエンシリ(長い・悪い・山=長い断崖)と呼ばれいていた。
山田秀三は「タンネウエンシリ」の西、小樽境まで伸びている山塊を手稲の上の山と言う意味で
テイネ・ヌプリと呼ばれたのではなかろうかとしている。
手稲山北麓の地名・手稲はテイネ・ニタツ(濡れている=低湿地荒野)と呼ばれていて幾筋もの小川が流れ込む湿地帯で
近年まで毎年のように水害に襲われその開発には大変なご苦労があった。
昭和47年の冬季オリンピックが行われ、北側半分はレジャーランド化している。 近郊の山からも眺められ、山頂にはテレビ局のアンテナが林立しているので見る方向によって変わる山容でも山座同定が容易である。 かって、この山には多くの炭焼き小屋があり、炭焼きや建築材料として大量の木材が切り出され、また、 大きな山火事もあって、1913(大正2)年頃には、大きな古い木がほとんど姿を消していた。 木を切るだけで、植林をしなかったので、1950(昭和25)年の大雨の時は、 手稲地区は、村始まって以来の大洪水に襲われた。 明治末期には登山路もでき、大正15年(1926年)北大スキー部創立15周年を記念し、 当時のスキー部部長大野精七氏らが中心となってスイスの建築家マックス・ヒンデル氏の設計による我が国最古のスキーヒュッテが建設された。 そのヒュッテは,最近では荒廃も甚だしく閉鎖されていたが雪の重みで倒壊してしまったので、 平成6年(1994年)に元の位置から西へ約400m移動した場所に北大山とスキーの会や北大スキー部関係者等の浄財を得て現在のヒュッテが再建された。 再建後北海道大学に寄付され学生部の所管となった。場所はテイネハイランドスキー場のすぐ近く、 スキー場手前の最終コーナーにある林道を、200mほど入ったところとなる。 かって、この山では金の採掘が行われていたが、当時の坑内から流れでる排水は重金属を含んでいる可能性もあるので、今尚排水処理が行われている。 その星置通洞坑の老朽化に伴って最近、排水トンネルを新設して水処理施設と処理水送水管の更新を行う工事が行われた。その歴史は ○昭和61年星置通洞坑坑口から異常出水する。 ○平成2年星置通洞坑の閉塞・湛水が発生する。 ○平成18年5月鉱害防止施設更新工事に着手、平成20年12月より更新施設の運用を開始する。...等、 登山対象として見る山以外に隠された一面もある。自然破壊に依って引き起こされる 鉱害をこの施設に知ることができ、そして森林伐採によるに依る災害を,過去の手稲村の水害に知ることができる。 また、なんの因縁か、森林伐採による自然破壊を,公益機能(環境の保全・維持)と経済機能(林産物を社会に役立てること)と捕らえ、 両機能を発展させるよう天然林を育てようという「林分施業法」を提唱したドロ亀先生の山小屋もある。 札幌市内からは良く見える山で市民に親しまれている。この山を詠んだ歌も多く、「鉄道唱歌」の作詞家、大和田建樹は 「何となく淋しくなりぬ賎がかかる手稲のみねの秋のしら雲」と詠んでいる。また、 「駅おりて紅葉に雪の手稲山椴のアーチをくぐりて仰ぐ」..小田観蛍 「山頂に二度目の雪を冠りて今朝しろじろと晴るる手稲山は」...水口幾代等がある。 登山路も4コースあるが、今回は良く登られている札幌市の自然歩道である平和の滝コースを登る。 登山口は、札幌市の西部、琴似発寒川沿いの道の突き当たりにある「平和の滝」の側にある広い駐車場。 平和の滝に向かう途中からは、アンテナ群が立ち並ぶ手稲山が見える。 人気の山で週末には駐車場に入りきれない車が車道脇に並ぶこともある。 駐車場のすぐ下には平和の滝がある。登山路は大平和寺横の入り口にゲートのある林道から始まる。気持ちの良いカラマツ林を抜け、 砂防ダムの横を過ぎ,ドロ亀先生の山小屋を右手樹林の中に過ごし、傾斜も緩やかな林の路は左下に発寒川の清流を見るようになると、 山路となり、やがて沢が二股となり、路は右の沢に入ってから、沢から離れ尾根の急登を行く、すぐに登り切って沢を渡るとそこは布敷の滝となる。 尚この尾根に登らず沢伝いで尾根の登りを省略もできるが、最初一寸したへつりがある。 |
手稲山 | 登山口のゲート |
登山路 | 伏流水 | 頂上 |
路はすぐに沢から離れ、ゴロゴロ露出した岩の登りとなる。足下の岩からは伏流水の音が聞こえ、伏流水の湧き水を過ぎると、
林が切れて、広い岩塊の斜面に出る。路は岩塊の縁を登るが、見晴らしがよく、
さわやかな風が通り抜けるので一服するのに最適の場所だ。
この岩塊の縁の登りが終わると、林の中に入りジグザグ行くと急な登りも終わり、 ダケカンバの林に出るとホットする。路は大きく左に曲り、少し登るとケルンの建つコブにでる。 コブは緩やかな傾斜地で札幌市街をはじめ、余市岳等見晴らしがよく、ゆっくり休息できる。 ケルンを過ぎると車道に出る。テレビ局のアンテナが並ぶ中10分ほど歩き頂上に着く。 頂上から札幌近郊の山々をはじめ羊蹄山,増毛山地、夕張山地も見える。 |