札幌岳は東側が切れ落ち、反対側はなだらかな山容の山で見る方向によって形が違って見える山である。
アイヌ語で豊平川をサツポロベツ(乾いた河原=札幌の語源)と呼んでいた。その源頭にある山を「サツポロ嶽」と呼んでいた記録が幕末の
探検家・松浦 武四郎が1859年に著した「東西蝦夷山川地理取調図」にあり、サツポロベツ(豊平川)の上流に「サッポロ嶽」の記載がある。
登山路は冷水沢コースと豊滝コースや空沼岳からの縦走のコースもある。また、沢登り定番の小型のナメや小滝もあり、
比較的手軽に登れる蝦蟇沢からのコースも良く登られている。
かって、信仰の山として登られた頃には、豊滝コースが利用されたようであるが、現在は冷水コースが一般的である。
冷水コースは国道230号で、札幌方面から定山渓の市街地を抜けた先で左折して、豊平峡ダム方向へ向かい、冷水トンネルの手前左手の広場が登山口で、
広い駐車場もある。ここ440mから頂上までは標高差853mの登りである。
登山口から冷水沢沿いの緩やかな路は、植林されたカラマツ林を通り抜け、小沢を渡ってしばらく進むと林道を横切り、何度か細い沢を渡渉すると、
やがて、目の前に標高860m地点に建つ冷水小屋が見えてくる。小屋は行程のほぼ中間地点にある。
旧冷水小屋は戦時中に焼失し、現在の冷水小屋は、昭和27年に北海道電力が、昆布〜札幌間送電線設置記念事業の一端として建造して豊平町に寄贈し、
その後北海学園大学が譲渡を受けて管理している。小屋の前には、鉄パイプから冷たい水が勢いよく流れ出ている。
ここから高度200mほどを一気にジグを切って登り切る。急な登りを終えると、広い尾根に出てダケカンバの目立つ笹の路からハイマツ帯へと頂上へ続く
平坦な尾根歩きとなる。一等三角点の山にふさわしい360度の展望が拡がる頂上からは、札幌の市街地の向こうに石狩湾や増毛の連山も見えている。
今日も沢山の人たちが三々五々寛いでいる傍らには、かって、信仰の山として登られていたことを物語る風化した石鎚神社の石碑が登山者を見守っている。
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