定山渓天狗岳 じょうざんけいてんぐだけ 1,144m



岩壁を四方に巡らせている山容からの山名で、天狗と呼ばれる山には、岩壁、岩塊累積した場所、大岩などがあり、 霊魂観から発する天狗の棲む場所との思想に因る。

「定天=ジョウテン」の愛称で呼ばれるこの山は、アイヌ語で「スマヌプリ (岩山)」 または、「キトウシヌプリ(ギョウジャニンニクの群生する山)」と呼ばれていた。

本峰、2峰、3峰の3つの岩峰から構成され、登山路は最高点の本峰につけられているが、2峰、3峰へは登山路がない。 切り立ったリッジと壁で構成されるこの山は多くのバリエーション ルートを持ち、岳人から親しまれている。 高山植物も豊富な山である。 難所には最近までアツモリソウがあったと聞くが今はどこにも見あたらない。

アツモリソウの名は「平家物語」の少年公達、平敦盛に由来する。一の谷の戦いに敗れた平家一門は海上へと逃走するが、 逃げ遅れた敦盛は馬を泳がせて舟を追う。その時源氏の武将熊谷次郎直実が砂浜からこれを見て、定めし名のある将ならんと呼びとめる。 敦盛は、そのまま逃げる卑怯を恥じ、馬を返して彼と戦う。

組み敷かれた敦盛を直実が切ろうとして、まだあどけなさの残る少年に、直実の同年輩の息子の顔が浮ぶが、 すでに源氏の武将達が、二人の組み打ちを包囲して見ていたので、直実は泣きながら敦盛の首をはねる。 直実はこの後剃髪して敦盛の霊を弔う。

アツモリソウは野生ランの中でも特に大型の花で、 袋状に大きく膨らんだ唇弁をつける。これを敦盛が背中につけていた母衣(ほろ=矢よけの布)にちなんでアツモリソウと名づけられた。

定山渓から小樽と定山渓を結ぶ道道1号線に入り、途中から別れて豊羽鉱山へ向かう。しばらく走ると神威橋の手前右手に林道がある。 この林道入口に駐車場があり、ここに駐車して林道を歩き登山口に至る、この林道は登山口の先白井二股まで通じており、 白井二股からも登山口にアプローチ可能で白井二股にも駐車スペースがある。

登山路の脇に咲くエゾノリュウキンカ 樹間に本峰が見えてくる


林道から熊の沢に沿って登山路がつけられている、右岸、左岸と渡りながら主に右岸につけられた路を進むと高巻きを繰り返し、 水流のある沢から離れ沢形の急登で岩壁が正面に見えてくるが、この岩壁を右手にみながらの急登で本峰と2峰の最低コル (ウエストコル)に着く。ここからロープがフィックスされたルンゼ(岩溝)状を登り頂上に至る。
ルンゼにフィックスされているロープはかなり傷んでいてロープに頼るのは危険。




昔の山名板 平成14年 平成17年 平成24年 頂上より無意根山と羊蹄山



白井二股 30分 登山口 2時間30分 頂上 2時間 登山口 30分 白井二股